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朝永振一郎

1925年に量子力学が誕生して以来、実際に量子力学を使って計算してみると、あっちでもこっちでも「無限大」という魔物が噴出してきた。

この魔物に対処しようというのが、くりこみ理論だ。

簡単に言ってしまうと、計算で無限大と出たら、実験で測った値に置き換えてしまえってこと。

このくりこみ理論を提唱した朝永振一郎自ら「カンニングに似ている。計算して答えが出ないから、ちょっと実験して自然自身に教えてもらう」と説明している。

「しりごみ理論」と呼んだこともある。無限大の魔物と直接対決して退治してしまうのではなく、しりごみしている感じですもんねぇ。

くりこみ理論は、その後、さまざまな現象に適用され、いずれも高い精度で実験結果と合うことが確かめられている。

そりゃあ、そうでしょうねぇ。実験に合うように、無限大をたぐり寄せ、くりこんでしまうんですから。

この理論で無限大の困難を克服した量子電気力学は「現在人類が持っている最も精密な理論」として、電磁気以外の現象を記述する理論のお手本になっている。

朝永振一郎は、敗戦の混乱さめやらぬ1947年に、この理論を発表した。

のち、この理論の業績に対し、朝永振一郎はノーベル賞を1965年に授賞している。

日本人としては二人目であった。一人目は湯川秀樹。

朝永は天才湯川秀樹とは、旧制高校、大学を通して同級生であった。

湯川を強く意識し、思い悩んだこともある。

「どうして自分はこう頭が悪いのだろう、などと中学生のなやみのようなものがわいてくる」実は湯川もこの無限大の問題と対決し、すぐには解けそうもないというので、原子核の問題へいったん研究の矛先を変え、中間子論を発見したのだった。

これより後、学界のメインストリームは中間子論が切り拓いた素粒子物理や、朝永のくりごみ理論に向かったのである。

中間子論の手法はその後50年近くも有効だったが、創始者の湯川は、中間子論のすぐあと、その方法論を飛び越えた次のレベルに挑戦していったのだ。

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