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DNA

この分子進化の中立説は、日本の木村資生博士が1968年に提唱して、大きな反響を呼んだ。

それまで、分子に起こる進化も、ダーウィンの自然淘汰説で説明できると考えられていた。

つまり、生存に少しでも有利な、子供を多く残せる変異が選択され、集団に広まっていくとされていた。

中立説もダーウィンの自然淘汰説も、生存にとって不利な変異が集団から除去される、という点は同じである。

また、形態レベルで起こる進化は、依然、ダーウィンのいう自然淘汰説で説明されるとしている。

違いは、分子進化に中立的な変異が寄与し、しかもその数が有利な変異より圧倒的に多いと主張している点である。

さらに、分子レベルで起こる進化のメカニズムが形態レベルでおこる進化のメカニズムとは異なっていると、同じだとする自然淘汰説に対して異議を唱えたことになる。

では、分子レベルと形態レベルというふたつのレベルの進化を、どう統一的に理解できるのか。

それが今後の課題となっている。

箸にも棒にもかからないガラクタの遺伝情報が分子レベルで保持されていて、いざというとき、たとえば環境が激変したりしたときなどに発言して、パワーを発揮し、役に立つってことでいい感じの説ですよねぇ。

話を分子進化に戻そう。

そもそも、親と子がよく似る遺伝現象が分子レベルから語られるようになったのは、比較的新しい。

1953年、ジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックがDNAの二垂らせん構造を解明し、分子生物学が本格的に誕生して以降である。

生物の進化を分子から理解できないか、分子生物学者と進化学者が色めきたった。

DNAはすべての遺伝情報の担い手だが、実は進化の痕跡をとどめていることがすぐわかった。

たとえば、ヒトとサルのDNAほぞの祖先では同じであったが、両者がわかれて以来、それぞれ突然変異を受け、だんだん異なるDNAに変わっていった。

ヒトとサルのDNAはよく似ているが、ところどころ違う。

ひとつの生物種から取り出したDNAだけではわからないが、異なる生物種のDNAを見比べて、配列の違いから進化の様子を知ることができる。

DNAは、進化の内なる化石なのだ。分子進化の中立説は、そのDNAに箸にも棒にもかからぬ中立的な変異が存在することを主張したのだ。

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