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小池劇場総チェック ホントはいくらかかる?東京五輪の謎予算(週刊女性 2017年07月11日号)

1兆3850億円の怪しい内訳

2020年に開催される東京オリンビック・パラリンピックは大会運営費のわかりにくさがつきまとう。12年の招致段階では7340億円だったが、一時は3兆円にまで膨れ上がった。

経費はどこまでかかるのか。都と組織委員会、国、都外で開催する競技施設がある関係自治体は、費用分担について5月31日、基本的な合意を結んだ。

昨年12月の1兆800 0億円(最大で予算費3000億円を含む)から1兆6850億円とし、1150億円を削減した。五輪経費は、原則として組織委が支払い、不足分が都と国の負担となる仕組み。そのため組織委の収人が増えれば、都や国の税金を投人する額が減る。

今後の課題は、さらなる経費圧縮と組織委の増収、国の負担をどこまでにするかだ。昨年12月時点で、組織委は5000億円の収入を見込んでいたが、5月の四者合意での見込み額は6000億円。試算どおりなら
ば、都や国の税負担が1000億円分、少なくなる。

都オリンピック・パラリンピック準備局では、「あくまでも現段階の試算。情勢の変化によって増減もあるが、今後も経費削減の方向になる」としている。

もともと招致段階では「コンパクト五輪」を打ち出していた。狭いエリアで実施することで、選手たちが移動する距離を短くできるとの触れ込みだった。

しかし、スポーツジャーナリストの小川勝さんによれば、「コンバクト五輪にすると、狭いエリアにない施設をすペて都が建設することになり、公共投資がかかりすぎる。五輪が終わった後に、何に使うのか?ということになる。分散したことで公共投資は減りました」

コンパクトといっても、費川がかからないという意味ではなかったのだ。小池百合子都知事は6月5日の都議会文教委貝会で「経費を抑制するために透明化することを盛り込んだ」と答弁している。

コンパクト五輪を放棄したために、五輪の大会経費も変わる。試算は年に1回ほど見直すが、年末にある次回の見直しに向けて、コスト管理を図るために四者の共同事業で「監理委貝会」を設置。そのうえで、組織委は収人を明確化し、資金の流れを把握、整備を一元的に実施する。

現段階で予算は当初の2倍以上だ。ただ、単純には比較できない。「招致段階の予算は、国際オリンピック委員会(IOC)が示した項目に数値を入れていくもの。例えば、建築工事は本体工事だけを計上しており設計費は含まれていません」(準備局)

また、工事原価も集合住宅(鉄筋コンクリート造)や事務所(鉄骨造)、体育館(鉄骨造)ともに上昇傾向で、建築費が増えた。

人件費も上がった。公共工事での労務単価は、招致段階では1日8時間あたり約1万300 0円だったが、昨年12月現在では約1万7000円に。

「運営費が増えたかどうか正当な比較かできるだけの、項目ごとの詳しい金額は公表されていないと思います」

と小川さん。また、さらなる要素として、ドル・円相場の影響も大きい。「招致段階と現段階では円相場が違う。12年には1ドル80円台でしたが、現在は111円前後。建築資材は輸入に頼るため負担増はや
むをえない。これについては招致委や組織委の資任ではありません」

どこからどこまで?曖昧な「五輪予算」

そもそも東京五輪の運営費をどのように試算するのかは難しい。小川さんは、「東京五輪が開かれなければ、使うことがなかった予算」と定義する。

バドミントンや近代5種の会場となる『武蔵野の森総合スポーツ施設』(調布市)は都が独自に整備する施設。

五輪招致の決定前から多序地域のスポーツ拠点施設として決まっていた。

そのため厳密にいえば五輪関係予算ではないが、この建設費も関連予算に含まれている。昨年11月、IOCと都、国、組織委の四者でコスト削減が話し合われた。

ボート・カヌー競技が行われる『海の森水上競技場』(江東区)、水泳が行われる『オリンピック・アクアティクスセンター』(江東区)、バレーボール会場として整備される『有明アリーナ』(江東区と大田区が帰屈調停中)は新設することになったが、400億円の削減
という試算が出された。

一方、新国立競技場は、19年のラグビーW杯で使用するために改修の予定で、招致段階では予算に含まれていない。しかし、設計段階で議論が巻き起こったために、W杯開催には間に合わず”五輪のため”の施設となった。

新国立競技場の建設費は1550億円程度。設計・監理費と解体費用を含めて1581億円。

このうち半分は国の税金、残り半分は東京都と日本スポーツ振興センターで同額を負担する。つまり、国は約800億円、都は約400億円を税金から捻出することになる。舛添要一.前都知事のときに合意したもので、これを小池都知事も引き継いだ。

四者合意では「恒久施設」は3450億円で、都と国の負担だ。うち、都の負担は2250低円。新設する3会場のほか新国立競技場の建設費用も含まれている。また「仮設、エネルギー、テクノロジー、貨借料」に4900円の負担を試算しているが、仮設施設は設計段階のため、詳細は決まっていない。

「例えばセキュリティーのために監視カメラをつけるとします。これが恒久的なものとして使われるのか、仮設の整備になるのかは今後、調整します」(事務局)

仮設は五輪が終われば撤去される前捉だが、「使ったものを捨てるのではなく他事業に使えないのか。そもそも、どういう仮設にするのか議論されていません」(小川さん)

東京五輪は小池都知事の就任前から決まっていた。就任後に改善できる幅は狭い。また、復興五輪との名目もあるが、被災者のひとりは「被災地にはまった<還元されていない」と怒りを隠せない。

経費削減では成果があがったとはいえ、都民・国民が納得する五輪のあり方とは何か、詮索する必要がある。

それでも「豊洲移転」はやめたほうがいい理由

築地市場(東京都中央区)の移転問題で6月20日、小池百合子都知事は緊急記者会見を開き、豊洲(江東区)へ中央卸売市場を移転し、築地跡地は5年をめどに再整備する基本方針を発表。

「世界の台所」は「食のテーマパーク」として再開発し、市場機能をも持たせるというプランを打ち出した。

「築地は守る。豊洲は活かす」こう述べる小池都知事だが、将来の市場併存について具体策は、今後の課題、都民の動向次第となった。都政の重要課題である市場問題が動き出すことになるが、母親や女性たちの多くが懸念する「安全. 安心」の問題を含め、私たち自身が築地市場の問題と向き合うことが求められている。

そもそも築地市場の豊洲への移転計画は、1999年4月に都知事となった石原慎太郎氏が同年9月、「古い、狭い、危ない」として、築地より広い豊洲ヘの移転方針をトップダウンで決めたことに遡る。

しかし計画が進むにつれて、市場として使えるスペースが築地よりもかえって狭く、業者にとって使い勝手が悪く、有害物質による汚染もあり危険であるという問題が明るみに。市場を活用する仲卸人たちからの反対の声が広がり始めた。

今回の経緯をたどると、日本の食文化の基礎を作ってきた築地の文化的価値を評価する人たちの声が「まった<聞き取られることなく」(鈴木さん)進められてきた実態が見えてくる。

なぜ、よりによってガス製造工場の跡地

土壌や地下水から有害物質が確認されている。このような土地の瑕疵(欠陥)、不具合を取り除くには、膨大な除染対策費用が必要になる。その支払い責任は、法的には売却側の東京ガスにある。

豊洲のようなひどい汚染がある場所では、売り主側に立って考えた場合、売却によって人手できる収人は除染費用によって削られ、かえって費用がかかることさえ珍しくない。

除染費用が売却価格の3割もかかる土地の場合、売却できない不動産とされている。そうした事情もあってか、東京ガスは当初、上地の売却を断っていた。現在までに都が東京ガスに直接支払った土地の代金は578億円。そして東京ガスが売却にあたり約10
0億円かけて汚染対策を行い、その後も汚染が見つかったために、都は約860億円かけて除染している。

つまり、汚染対策のために、東京ガスと都が今までに使った金額は合計960億円、約1000億円にもなるというわけだ。しかも、今も環境基準の100倍ものベンゼンなどが検出されている。

汚染に対して、都の専門家会議の座長は、「地は安全」と発言しているが、「都は、ベンゼンの安全性について専門の調査機関に
依頼し、環境基準の10倍までが許容範囲という報告書を持っていた。現状は、その10倍もの汚染レベルということができる」と東京都環境局元職員で『化学物質問題市民研究会』の藤原寿和代表。この問題に対し、市民と専門家による調査チームの立ち上げも検討していると話す。

「揮発性のある毒物が環境基準以上に出ている場所に、なぜ生鮮食品の市場を作るのか疑問です」と懸念するのはNPO『食品と暮らしの安全基金』の小若順一代表だ。

収穫後に農薬などを使用する『ポストハーベスト』や残留農薬の全容を追及し、輸入を抑制させた立場から、豊洲市場の「安全. 安心」に厳しい眼差しを向ける。

さらに、所轄官庁である農林水産省は、「生鮮食品を取り扱う卸売市場用地としては想定できない」という見解をしめしている。

もし小池知事が豊洲移転を延期していなければ、こうした実態は闇に隠されていたであろう。

誰が何のために移転を進めたのか

豊洲市場の移転計両は、総計5884億円もの事業費がかかっている。その内訳は用地取得役、土壌汚染対策費、建設費などだ。

これに対し、築地の再整備計画の費用は当初3400億円といわれ、その倍近くの金額が使われている。豊洲移転に倍の費用がか
かった要因は、談合や天下りだとの指摘もある。

豊洲市場の建設工事費の予定価格が高値修正され、その後に落札した建設ゼネコンを中心としたジョイントベンチャーの落札率は99.79%超。談合の目安とされる90%をはるかに超えている。

そのうえ、落札企業に都庁の幹部職員が何人も天下っている。目の前の課題としても、都は土壌汚染対策に860億円を費やしながら、東京ガスに78億円しか支払い請求をしていない問題もある。

都が汚染対策費用の全額を請求しないのは、東京ガスに余計な「付度」を行っているか、それとも、除染対策工事が粗雑に行われ、その費用を東京ガスに請求できないからではと考えられる。

この”都政の闇“は現在、住民訴訟(l級建築士の水谷和子さん原告)で追及がなされている。豊洲移転問題をとおして都政の“負の遺産“の実態が明るみに出始めている。

世界が認める聖地・築地の真価

「なんといっても築地のよさは、今も500人以上いる仲卸の目利きです。築地でセリ落とされた値段が全国の値段の標準価格となって、消費者に届けられるとともに、漁師や生産者の生活を守ってきたのです」

と前出.鈴木さん。築地が世界の市場のなかでも注目されるゆえんだ。築地では、卸売りから仲卸にセリ売りされたら、すぐさまターレ(手押し車)で運ばれ、解体・小分けされ、店舗に並べられる。

それを小売店や料理屋、スーパーが購入、”やっちゃば"(青果市場)も隣接し、卸売りから数時間のうちに必要に応じて消費者に届けられる。

仲卸の頭脳.目利きとそれを生かす有機的な市場システム。スーパーコンピューターでも決してできない仕組みである。

公正な値付けが築地で行われるがために、巨額資本を持つ販売業者でも独占することができず、鮮魚や青果物の値段が保障され、全国の漁師や生産者たちが安心して仕事を続けられる。

こうして世界最大の卸売市場が営まれている。2年前、ユネスコの世界文化遺産に日本の「和食」が登録された。築地はある意味で、和食の聖地ともいえる。

外国人観光客も多く、日本文化を伝える重要スポットにもなっている。「知の巨人」と呼ばれるフランスの人類学者レヴィストロースは『市場について』と題したインタビュー記事(『現代思想』2017年臨時増刊号「総特集築地市場」に掲載)で次のような狩辞を贈っている。

《築地は本当に素睛らしいところです。私は忘れられない。まった<夢のような日本の思い出です。物の豊冨さといい、その多様性といい、並べ方の美しさといい・・・私にとっては世界の博物館すべてに匹敵します》鈴木さんは言う。

「豊洲に移転されれば、築地市場が終わってしまいます。土壌や地下水汚染で、世界から注目されている日本の食文化を支えてきた築地のイメージが壊れてしまいます」

真の意味で「築地ブランド」を守ることができるのか。今後の動きを注視したい。

待ったなし!首都TOKYOの大問題

東京が抱える問題はオリンピックや豊洲移転ばかりではない。「東京大改革」を掲げて、都議会の「伏魔殿」ぶりを白日にし、秘密体質の一掃に力を尽くす小池都政だけど、肝心の政策は「都民ファースト」と言えるのか?

子育てや介設、防災、医療といった暮らしに直結する課題をどうとらえているのか、小池都知事の政策を項目別に検証してみた。

「とちょう保育園」で待機児童ゼロになる?

待機児童対策は緊急課題でもある。小池都知事や、代表を務める「都民ファーストの会」でも大きく打ち出している。

保育施設の定員を増やし、市区町村と民間事業者への財政支援が中心的な政策だ。

待機児童解消のために、都では事業所内保育所の拡充に力を注ぐ。地域に開放した施設や運営費
などを補助するほか、シンボル事業として都庁内保育所『とちょう保育園』を昨年10月にオープンさせた。

待機児童問題を取材する福祉新聞の鮫島隆紘記者は「待機児童は、入所資格があるのに保育所が不足し、入所できずに待機している児童のこと」と言い、本来は、施設や人員が国の基準を満たす「認可保育所」か、東京都独自の「認証保育所」に入所するようにすべきと主張する。

16年4月現在で、全国の待機児童は2万3553人。

このほぼ3分の1、8466人が都の児童数。ここ数年は8000人前後を推移している。

厚生労働省は15年度から、待機児童のカウント数を全国統一するために、その定義を新たにしている。「育児休暇中か、求職活動
を休止中、または特定の保育所を希望している場合、自治体が補助する保育サービスを利用している場合も待機児童に含めるようになりました」(鮫島記者)

保育研究所(全国保育団体連絡会)の村山祐一所長は「働く女性が増え、預ける子どもは1歳児から増えています。学校に入学するまで施設に預けたいというのが親のニーズ」と話す。

待機児童解梢のため、第一に、施設をどう増やすのかがポイントだ。小池都知事と都民ファーストの会では、前述した事業所内保育所に加えて都有地や空き家の活用を打ち出している。

現状では、都内の認可保育所の定員は約23万人、駅前保育や小規模保育などの都独自基準の「認証保育所」は定員約2万2000
人の計約25万3000人(いずれも16年4月現在)。定員を増やしたことから、申し込み者の9割近く、認可保育所の基準では85%が入所している。

とはいえ、待機児童数は自治体間で差がある。例えば、千代田区は0人だ。小池都知事のお膝元・豊島区も、17年4月1日現在で待
機児童が0になったと発表した。

「ベピーシッター派遣を認可事業とし、推進した成果だ。ただ、特定の保育所だけを希望したり、認証保育所を利用しつつも認可保育所の内定しない135人は除いています」(鮫島記者)

保育士をどう確保するかも大きな課題だ。厚生労働省によると、都内の保育職員の平均年収は369万円。全業種613万円の約6割でしかない。

「これまで保育士の給料がなかなか上がらなかった。00年度以降、微減が続き、18年度になって10年度の水準に戻った」(村山所長)

保育士には非正規職員として働く人が多く、正規職員でも実質的にパートタイム労働で、低賃金にあえぐ人は多い。

「子どもと接する時間が8時間とすると、親の対応はその別の時間に常勤の正規職員がすることに。非正規職員を雇って頭数をそろえても、正規職員にしわ寄せがくる。そのため正規にはなりたくないという声も出ています。非正規に事務を任せようとすると、負担が増えるために辞めてしまう。悪循環です」(村山所長)

このため都では、15年度から保育施設の運営事業者に対し、保育士1人当たり2万3000円を補助している。国も保育士の給料の
助成を拡充したことから、国の補助分と合わせて1人当たり月額4万4 000円相当を補助。

首都直下地震で火災地獄、医療は救急より保育所が要

政府の地震調査研究推進本部が「30年以内に70%の確率で発生」と予測する首都直下地震。国の中央防災会議の被害想定では、首都圏全体で死者は2万3000人に上る。

「30年以内に10%という数字そのものはまったくあてになりません。シミュレーションの結果でしかない。現に、これまでに起きた大地震は、いずれも国がノーマークだったところでばかり発生しています」

そう指摘するのは地震学者で、武蔵学院大学特任教授の島村英紀さんだ。「首都圏は世界でも類を見ないほど地震の起こりやす
い地域。地下には北米プレートがあり、さらに東から太平洋プレート、南からはフィリビン海プレートが入り込んでひしめき合っている状態だからです」

地震には大きく2つのタイプがあり、活断層が引き起こす『内陸直下型』、プレートのひずみから発生する『海溝型』に分かれる。首都直下は前者、東日本大震災は後者に当たるという。

「内陸直下型の場合、人が住んでいる真下で起きるため、地震の規模を表すマグニチュード(M)に対して被害が大きくなりやすい」東京の下町は地盤が弱いうえ、古い家屋の密集地域が多い。特に怖いのは冬の夕方。中央防災会議は、暖房器具や調理で火を使うことの多い18時に、M7.3、秒速15メートルの風が吹く中で震度6の地震が起きた場合、1万1000人の死者が出ると予測する。

「1か所から火の手が上がったとき、うまく消し止められなければ、死者はそれ以上になるおそれが。関東大震災では火災で10万人もの方が亡くなりました」

では、都の防災対策はどうか? 小池都知事は「女性目線の防災対策」として液体ミルクの備蓄や活用を掲げるほか、都心部主要道
路の無電柱化(6月7日に条例成立、9月施行)を提唱。バーチャルリアリティーを活用した災害体験車の導入も謳い、来年度予算案
に1億3000万円を盛り込み、防災訓錬の普及に期待を示す。

「やらないよりやったほうがいいのは確かですが、バフォーマンス的で実際の効果はどうか? 災害は弱者を襲う。耐震補強したくても資金がない人も多い。予算はそこへ割いては?」

3.11で医療が壊滅状態になったわけ?

「東日本大誤災では多くの医療機関が機能しなくなりましたが、その理由がわかりますか?」

そう尋ねるのは『医療ガバナンス研究所』所長で医師の上昌広さんだ。医療のあり方や問題点を在野の視点から研究・提言している医師は、震災支援にも尽力してきた立場から、被災地医療の実態に詳しい。

「大災害があると、保育施設は真っ先に閉所されます。看護師の子どもの面倒を見る人がいなくなる。そのため震災後、勤務先の病院に来られなくなり、医療機関の多くが機能しなくなったのです」(上医師、以下同)

とはいえ東北の場合、東京に比べれば「まだマシ」と言える。三世代同居が多く、核家族化の割合が首都園よりずっと低いからだ。

東京を含む首都圏では、核家族の割合が高いと同時に、待機児童が多く、看護師の数そのものが不足している。厚労省の統計によると、人口10万人あたりの看護師数は埼玉県を箪頭に千葉県、神奈川県が全国ワースト3。准看護師は東京都が最も少ない。

そんな現状のなか、首都ヘ巨大地震が直撃したら……。上医師は、「小池都知事の対策は今のところまったく見えてきていない」とキッパリ。さらにこう続ける。

「首都圏の災害対策で考えておくぺき問題は、DMAT (災害時派遣医療チーム)をどうするかということではないんです。

看護師が働けないことの影響のほうが大きい」災害時の医療を取り巻く問題は、これだけにとどまらない。

「特に考えておかなければならないのは、透析患者の問題です。彼らは週に3回は透析しなければならない。東日本大震災のとき
は、千葉や新潟、東京に搬送しました。ですが、東京が破綻した場合、関東では現時点ですでに超のつく医師不足。神奈川、千葉、埼玉では受け入れることができません。今のままでは、透析患者にたくさんの被害が出ると思います」

前述したとおり、首都園の医師不足はかなり深刻な状況にある。千葉県銚子市では18年、市民病院が医師不足から閉鎖。また、埼玉県の市民病院では、小児・小児外科入院診療の看板を下ろし、訪問介護や在宅診療に軸足を移した。小児科の常勤医は59~64歳の3名のみ。閉鎖は、深夜の急患に対応可能な若手医師が確保できなかったからだ。

「医師の世界も団塊世代の高齢化が進んでいます。すでに老老医療の時代に突入している」災害は待ってくれない。

東京の医療危機も、まさに待ったなしの状態。小池都知事が取るべき対策とは?「まずは看護師の増員でしよう。いま、各地の大学がこぞって看護学部を作っていますが、東京でもそれをやるぺき。実習先が足りないのなら、小池さんの権限で、都立病院でやらせればいいのです」

首都圏の医療システムは急速に崩壊しつつある、と上医師。できるところから着実に、継続的な取り組みが求められている。

都民ファーストの会の都議選候補者を「35%が女性」と強調、街頭演説でも「おっさん政治じゃダメなんです」と叫ぶ小池都知
事。しかし、小池都政に女性の声が反映されているかというと話は別だ。

「女性政治家だからこそ女性のための取り組みをやらねばならない、とは思っていないのでは? むしろ貧困であったり、シングルマザーだったり、そういう困っている女性に対して、わりと冷たいんじゃないかということが政策から見えてくる。例えば介護でも、特養の待機者は相変わらず多いし、大きなプランをぶち上げることはあっても、生活に根づいた緻密な仕事の形跡はありません」

そう話すのは作家・北原みのりさん。都民でもある北原さんにとって、道路から電柱をなくす「無電柱化」が唯一、身近な変化として感じられた政策だという。

「小池さんは引つ張っていく力は強いし、何かやってくれるんじゃないかと期待させるのがうまい。でも、それって実は怖いこと。そういう期待を政治家にかけてさんざん失敗してきたはず」

各世論調査の支持率は下がったとはいえ、まだまだ衰えない小池人気。特に女性の支持が根強い。

「選挙って、ワクワクさせた人が勝つんだな、と小池さんを見ていると思う。硬直したおじさん政治のなかで、ここまで頑張ってきた期待、応援があるのはわかります」

アピール上手と呼ばれる小池都知事。そのスケールは、女性政治家の枠から大きくはみ出している。「写真集とか出しません
よ、普通。ピラミッドの前に立ち、手にはお祭りで使うような団扇、しかもそんな写真を表紙に選ぶ。周りは敵だらけで心中、穏やかじゃないはずが、なぜか余裕に見えるし、肌もツルツル。疲れや苦しさ、悩みは顔に出るものなのに。葛藤なく突き進んできた人のように見えるし、彼女がお母さんの介護について書いた本からもそう感じられます」

絶対に好きと言いたくないんだけど、嫌いになれない何かがある、と北原さん。「百合子と呼びたくなってしまう。政治家としてというより、女のやりたい放題みたいなものに対して、世の女たちが応援しているのでは?目が離せなくて、怖いけどおもしろい」

”総理大臣にいちばん近い女性政治家“と呼ばれたこともあったが、「(小池都知事の著書) 『女子の本懐』にもありましたけれど、国に戻るのが目標なんだね、というのが透けて見えてしまう。東京はステップアップのひとつで、ゆくゆくはジャバンファ
ーストヘつまり云百合子ファースト々ですよ。並々ならぬ野心をチラつかせる女王様の踏み台にされている実感があります」

小池人気にあやかり、一緒にのし上がろうとする政治家の姿も目につく。

「ドラマ『女囚セブン』のエピソードで、2人の女性議員がこう約束するんです。”目的のためには手段を選ばない、そんなおじさ
んみたいなことはしない“って。この脚本を書いたのも、ドラマをプロデュースしたのも女性。ダメな政治家も女性が目立つけれど、共謀罪や加計学園の問題に本気で怒り、闘っている政治家はすべて女性でした。女の良識、女の正義感で世の中を変えていくしかないんだなと強く思うんです」


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