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スーパー堤防歯抜けすぎて「意味なし」(FRIDAY 2017年7月28日)

東京と千葉を結ぶJR総武線。写頁右奥の東京側から左側の千葉方面へ向かうと、都県境の江戸川に差し掛かる直前で、左手に造成工事の現場が見える。

周囲より最大6mほど高く、国道14号線、通称・千葉街道(写真手前の大通り)と総武線に挟まれた、約100m四方のなだらかな傾斜地である。ここが、国と江戸川区が工事を進める「スーバー堤防」の北小岩1丁目東部地区だ。

「エッ、これがと思われる読者が多いだろうが、白い点線に沿って完成すると総延長120kmの、まさに超巨大な堤防となるのだ。治水対策では通常、川幅を広げ堤防を高くする。だが、どんなに高い堤防でも水圧で一部が決壊すれば、大星の水が町に流入する。

国土交通省は200年に一度の大洪水にも耐えうる堤防の建設を計画。大量の土を盛り、川の反対側に向かい傾斜を造ることで強度を増し、溢れた水流の勢いを抑えようというのだ。

「堤防の上の土地も利用できるとの触れ込みです。初年に事業が始まった時には、首都圏と近畿圏の6河川(利根川、江戸川、荒川、多摩川、淀川、大和川)で総延長873kmを整備する予定でした。しかし完成まで400年以上を要し、総事業費は12兆円にのぽるため無駄と判断され(民主党政権による事業仕分け)、120kmの流域に縮小されることになったのです」(全国紙記者)

整備に意欲的なのが「満潮時に区の7割が水面下に沈む」という江戸川区だ。江戸川と荒川の川岸を、200年以上かけ2兆7000億円を投じスーバー堤防で囲むという。すでに血税約5000億円がつぎ込まれ、3ヵ所が完成している。

問題も頻発している。スーバー堤防計画の監視を続ける、江戸川区民の堀達雄氏が憤る。「北小岩地区の堤防は盛り土と造成が終わり、今年3月に住民へ引き渡す予定でした。ところが強度不足が61ヵ所で見つかり、現在、国が地盤改良工事をしているお粗末さです。整備区域内に建っている官舎を壊せないとの理由で堤防が途中で終わっていたり、いつになったら造り始めるのか不明の区域もある。歯抜け状態で、まった<堤防の意味がありません」

だが江戸川区に、計画を見直す気はないようだ。「洪水や高潮に悩まされる江戸川区では、決壊しない堤防を区内に整備するのが至上命題です。ただ建設に200年以上要するのは良いと考えてはいません。スピードを上げる制度設計を、国土交通省に要望しています」(区画整理課長・柿澤佳昭氏)

治水に詳しい、東京都環境科学研究所研究員・嶋津暉之氏が話す。「計画通りにできているのは、たった2.3%です。いまのペースでは工事が終わるまで1000年以上かかります。

耐越水性能に優れた堤防技術も出てきているので、実現性のないスーパー堤防計画は中止すべきです」現実味のない超巨大プロジェクトに、大星の血税が浪費されていく。


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