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10年後に土地の値段が「上がる駅」「下がる駅」(週刊現代 2017年8月5日号)

東京五輪を機にバブルは崩壊。人口減少で儒要も縮んで、不動産「不況時代」が到来する。そこでは少数の勝ち組と、多数の負け組に分かれる土地格差社会が訪れる。あなたの住む駅は大丈夫か?。

木場‘渋谷、広尾が「下がる」

まず、東京エリアについて見ていくと、渋谷、原宿、自由が丘、中目黒、恵比寿、表参道、広尾など、従来の超人気エリアの「凋落」が目につく。

不動産コンサルタントの長嶋修氏が言う。「2012年にアベノミクスが始まって以来、投資マネーが一気に入ってきて高騰したエリアに揺り戻しが出てくる可能性 が高い。すでに庶民には手が出ないほど割高になっているうえ、10年後にも日本銀行がREIT(不動産投資信託)を大量購入している保証はない。山手線の駒込、丸ノ内線の後楽園など利便性が高くて物価が安い実需エリアに人が流れる一方、バブエリアからはカネもヒトも引いて、一気に価格急落に見舞われるリスクがある」

帝塚山三T目しかも、2020年の東京オリンピック前後にこれまでの不動産バプルは崩壊すると言われる。

近年は都心回帰の流れもあって地価が押し上げられてきたが、東京都でも2025年には人口減少が始まるので、その上乗せ効果も期待できなくなる。住宅ジャーナリストの榊淳司氏も言う。

「東京都のワースト1位は木場で、まさに都心回帰した層を開発ラッシュで受け入れてきた場所。すでに需要が減り始めて坪単価300万円以上ではマンション物件が売れなくなっており、”下落局面”を迎えるのは当然の流れです。都心人口が減るのだから、都心への人口供給エリアのベッドタウンでも凋落する場所が出てくる。千葉ニュータウン中央ではすでにマンションの売れ行きが悪化しているし、ユーカリが丘でも販売不振の話を聞きます」

今回、ビッグデータから土地の値段を弾き出す不動産価格予測サービス「GEE0」で全国主要駅の地価を算出。10年後にどれくらい上がり、下がっているかをまとめたのが上の表である。

流山エリアの「新旧交代」

全体のベスト、ワーストランキングを見ると、「地価が下がる」とされているエリアには、意外に歴史ある人気住宅街が目立つ。みずほ証券上級研究員で不動産アナリストの石澤卓志氏が言う。

「埼玉の春日部、仙台の泉中央やつつじヶ岡、また札幌の中島公園や東京の春日など、いずれも歴史あ
る住宅街です。評価が安定し、すでに地価が高止まりしている人気住宅街ですが、逆に言えば街並みが固定化されている分、新たに開発をしづらい。

こうしたエリアは、将来的に近隣開発が進むと、相対的にポテンシャルが落ちるリスクがある」

一方、全国776 駅中で値上がり率1位は福岡の西戸崎。周辺に大きな公園やマリンポートがある環境良好エリアだ。

「海ノ中道駅に隣接し、”福岡のリゾート”とも言える地区。福岡では大濠公園などの高級住宅地が有名ですが、西戸崎は開発余地が大きい分、新しい住宅地として人気化すると割安な地価が一気に上がる可能性がある。

値上がり率2位の大阪の俊徳道も、おおさか東線の延伸で新大阪に直結すれば開発機運が高まる。福岡の西鉄福岡、天神も国家戦略特区に絡む規制緩和で、いまは開発が一気に加速する前夜。福岡市長が”天神ビッグバン”と檄を飛ばすほどで、嫌が上にも期待感が高まる」

これからは、既存のエリアプランドがまった<通用しない、新しい「駅格差」が広がる時代に突入するわけだ。さらにランキングを見ると、ほんの些細な違いがその「地価」を大きく左右することがわかる。経済評論家の平野和之氏も言う。

「たとえば神奈川のランキングで興味深いのは、横浜駅北口が再開発されたが、周辺エリアでギリギリ徒歩距離にある三ツ沢下町は大きく下落する一方、同エリアの反町はかなり上位にきている点。

三ツ沢下町は横浜市営地下鉄プルーラインの駅で、都心まで一本で行ける東横線の反町と比べて乗り換えの利便性が劣る。結果、地価に大きな差が出てしまう。これからの時代に地価上昇が望めるのは、しっかりとした『実需』のあるエリア。人々は駅ごとの些細な違いを吟味して、少しでも割安で便利なほうにどんどん移っていく」

言い方を換えれば、日本が人口減少時代に突入する中で、全国の駅同士がその限られた人口を奪い合う争奪戦が過熱化していく。負ければ一転、地価が転げ落ちる厳しい競争時代の幕開けだ。

「千葉では、流山おおたかの森、柏の葉キャンパスなどの騰落率が100%を切っているが、これは南流山駅の影響が大きい。流山おおたかの森などはつくばエクスプレスの効果と行政サービスの良さで割高でも人気だが、今後はさらに近くて似た環境がある南流山に需要が移っていくというシビアな結果が見て取れる」

路線格差が拡大する

もちろん、今後は「路線間」の格差もより鮮明になっていく。ニッセイ基礎研究所不動産市場調査室長の竹内一雅氏は、「東武東上線と西武池袋線が強い」と指摘する。

「特に郊外へ向かう沿線の格差が広がる傾向が見て取れ、中でも復調が鮮明なのが東武東上線と西武池袋線。都内で一番値上がり率が高いのも東武東上線のときわ台で、これは副都心線やみなとみらい線との乗り入れで、都心に直結したうえ横浜までも一本で行けるのが大きい。近年は評価が落ちていた京王線の聖蹟桜ヶ丘や調布も値上がりする結果だが、地価が割安なところに、新宿へのアクセス利便性と駅周辺の商業施設の充実が再評価される流れが見て取れる。逆に、厳しいのは東武伊勢崎線。東京スカイツリーのバブルで地価が異常に上がったことで、実需ニーズが離れる」

これからは「大型商業施設」の有無も路線の浮き沈みを分けるようになる。住宅ジャーナリストの櫻井幸雄氏が言う。

「武蔵野線、南武線、横浜線など外周を回る路線は、都心と直結しない利便性の悪さから人気薄でした。それが路線にショッピングセンターなどの商業施設が続々と開発され始めて、都心に出ずとも買い物などが完結する新しい人の流れができたことで、地価上昇が起き始めている。

埼玉県で武蔵野線の越谷レイクタウンが1位なのが象徴的。神奈川県で2位の古淵はイオンのショッビングモールがあるうえ、小田急線町田駅近くという利便性もある。

神奈川県内で11位の鴨居も大型商業施設ららぽーと横浜の最寄り駅。今後10年は、”大型商業施設”に近い駅の将来性が見込まれると言える」

今回調べた全駅中、「値下がり」する駅が6割以上で、人口減少時代には当然の結果と言える。

「京都では値上がりするのがたったの5駅だけという厳しい結果になっている。京都は外国人観光客によるインバウンドバブルが起きたことで、投資マネーが大量流入し、地価が上がり過ぎた。そこへきてインバウンド需要は五輪後に減少が加速し、今後はマネーの調整局面に入ることが懸念されているのでしょう」

方南町、元町これぞ穴場

 

逆に言えば、こうした人口減少化、投資マネーやインバウンドの減少といった逆風下でも値上がりする駅も4割弱はあるわけだが、そんな勝ち組グループには一度評価が落ちたものの、新たに「見直し」が始まりそうな駅が並ぶのが典味深い。

不動産エコノミストの吉崎誠二氏は、「まず、海岸エリアの見直しが始まる」と指摘する。

「千葉、兵庫のランキングを見ると、海岸エリアの強さが目を引きます。ともに過去に大きな震災を経験し、液状化問題からプランド価値が下がったところですが、今後は見直しが始まる。実際、兵庫では山側の阪急沿線が海側の阪神沿線よりも人気だったのが、逆転する結果になっている。

従来人気だった高台の芦屋などは価格が上がり過ぎたうえ、海側は再開発で公園などが整備されたこ
とで、序列が変化する可能性が出てきた。千葉でも、すでに浦安や舞浜など東京駅から至近な利便性が見直され、開発も盛り上がってきた」

大阪では、蛍池、阪大病院前、緑地公園、東淀川、動物園前、江坂、新大阪、桃山台、大日、山田など、上位には北摂工リアの駅が目立つが、ここにも明確な理由がある。吉崎氏が続ける。

「概ね新大阪ー伊丹に挟まれ、モノレールや地下鉄でつながるエリアで、近年評価はそれほど高くなかった。初年代半ばまで開発が進んだものの、その後は中心部のマンション人気に押されていたが、実は中心部へのアクセスが便利。中心部のマンション価格が高騰する中、今後は北摂エリアへの見直しが起きていくのでしょう」

前出の櫻井氏は、「これからは穴場駅の勃興も始まる」と言う。「ランキング上位の駅には、プロでも見落としがちな「穴場駅」が多くランクインしているのが注目大です。たとえば、東京の方南町。丸ノ内線の中野坂上で乗り換える、いわば支線でしたが、今後数年で都心への直通運転が始まる。方南町始発の電車が大手町、東京、銀座に乗り入れるため、座ったままで通勤可能になる。いまは値ごろ感のある物件が俄然人気が出てくるため、いままさに狙い目でしょう。

ほかにも、大阪の肥後橋は梅田から近いが、もとはオフィス街で夜になると誰も歩いていない印象だった。それが近年はマンション開発が進み、夜でも人通りが増えて、今後は人気上昇が期待できる。

札幌駅北側に位置する元町も同様。これまでは札幌駅の南側に人気が集中し、『エキウラ』の北口方面は見向きされなかった。しかし、北側には北海道大学もあり、子育て環境が魅力的とあって、近年マンション開発が盛んになり、将来性がグンと上がっている」

ランキングをじっくり眺めれば、そうした穴場はいくつも見つかる。上がるにしても、下がるにしても、「10年後」に動き出したのでは手遅れ。自宅の売却を考えているならば下がる前に即座に売って、人よりも先に上がる駅に移り住んだほうがよさそうだ。


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