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「最高の老人ホーム」ランキング BEST 150

(週刊ポスト 2018年1月12日)

2018年4月の改正介護保険法施行を目の前に、「終の棲家」選びの基準は大きく変わっている。要介護度を改善するための「リハピリ」、社会問題化する「認知症」への対策、そして最期を穏やかに迎えるための「看取り」対応繰り返し現場を歩き、施設スタッフなど数字にわれないデータを知り尽くす。プロの投票で選ばれた、理想の老人ホームとは

”やりすぎない介護”が目標外観は賃貸マンションを思わせる3階建て。各フロアの共用スペースには台所があり、昼食時が近づくと施設の職員が炊飯器のスイッチを入れる。何人かの入居者が居室から出てきて、台所に立って野菜を切り始め、人数分の食器を用意する入居者の姿もある。

埼玉県川口市にある介護付き有料老人ホームの食事時の光景だ。同施設は今回の「最高の老人ホーム」ランキングで、「認知症介護部門1位」に輝いた。ホーム長・篠原竜樹氏はこう話す。「十分に安全が確保できる態勢を敷いた上で、皆さんには自由に行動してもらいたいと考えています。個人の尊厳を重んじたやりすぎない介護が目標です。食事の準備にしても、上げ膳据え膳のようなやり方だと、実は利用者の方はすぐ飽きてしまう。認知症の方でも”仕事"はしたいと思っているんです」

家にいる時と同じように身の回りのことをやる。それがプラスにはたらくケースは少なくないという。「要介護認定を受けて入居し、その後、認知症の症状が改善して要介護状態ではなくなるまで回復した方もいらっしゃいます」(篠原氏)

別掲のランキングは、「老人ホーム紹介業者の相談員」の投票で決定した。病院が長期入院を避けるようになり、自宅での介護も難しいーそんな時、利
用者と施設の”仲介役”となるのが紹介業者相談員だ。

紹介業者ケアミックスの柴田彰代表はこういう。「利用者や家族の要望を精査し、最適なホームを紹介する。そのために相談員は毎日のように施設を訪ね歩きます。入居率や人員配置といった数字上のデータだけでなく、スタッフの人柄や施設長の理念といった情報まで、相談員一人ひとりに蓄樅されています」今回は関東圏の紹介業者を中心に84人の相談員が投票に参加。投票にあたっては、「認知症介護」「リハビリ」「看取り」の3部門を設け、各分野で優れている介護付き有料老人ホームを挙げてもらった。

「利用者や家族からの相談、質問はこの3分野に集中します。認知症対策や終末期の看取りは、在宅では対処が難しくなるし、ケガなどで入院した後のリハピリも、自宅での訓練は困難だからです」(前出.柴田氏)

3部門のランキング上位の各50施設、延ぺ150施設を別掲した。リハビリも”オーダーメイド”2018年4月からは改正介護保険法が施行される。

介護アドバイザーの横井孝治氏は、「ホーム選びが今以上に関心を集める時代になる」という。「介護保険制度では、要介護度の高い人ほどサービス
給付が大きくなる。政府が介護予算を圧縮するために、要介護認定をどんどん厳しくする懸念があります。実際、今回の改正法では要介護度を改善させた自治体にインセンティプがはたらく制度が導入される。公的補助があって入居牲の安い特別投護老人ホームは『要介護3』以上の人しか入れない。ハードルはさらに上がるわけです。民間の老人ホームが今以上に有力な選択肢となり、自身のニーズに即した施設選びがより重要になってくる」

そうしたなかで「認知症介護部門2位」となったのは東京都府中市のフローレンスケア聖蹟桜ヶ丘だ。ホーム長. 岡園貴子氏の説明。「当施設は『認知症対応強化型ホーム』として、他のホームでは入居を断わられるような重度の方も受け入れようとしています。徹底しているのはとにかくご入居者の人となりを知ること。


生活歴の聞き取りから、ご家族のなかの特にどなたの言葉に一番耳を傾けるのか、といったことまで把握し、孤立しないように一人ひとりに時間をかけて対応する。ご入居者とスタッフの割合は2対1を目指し、ほぼ実現できています」

「認知症介護部門3位」のアズハイム大泉学園(東京都錬馬区)には、相談員から〈入居者の日頃の様子を職員全員が広く共有〉といった細やかな対応を評価するコメントが多かった。

同施設では入居者とスタッフの比率が2対1の水準を割ったことは一度もない。「書道サークル」「おやつ作りサークル」などレクリエーションも豊富。認知症を患う入居者も参加できて、適度に刺激や役割のある生活が送れるよう配慮されている。

入居する90代女性は「スタッフさんがこまめに声をかけてくれて、みんなで洗濯物を畳んだりするのを手伝えたりするんです」と笑顔で語った。
続いて「リハビリ部門1位」は神奈川県川崎市の未来倶楽部生田。相談員からは〈理学療法士・作業療法士のみならず自社で抱える言語聴覚士による行き届いたリハビリが受けられる〉

〈効率よく広く確保できたリハピリス。ヘースにて利用者それぞれに即したプログラムを受けられる〉といったコメントが寄せられた。 同部門2位は埼玉県川口市にあるウェルケアテラス川口元郷だ。「当ホームに入居された後、リハピリにより機能が回復し、自宅復帰された方が3人いらっしゃいます」

ホーム長の高橋亨氏はそう語る。1階の機能訓練室にはスボーツジムと見紛うような器具が備えられ、利用者が列を作る。「自宅復婦が希望であれば、
スタッフが入居者の方と一緒に自宅を見に行く。段差が多いならリハビリのメニューに階段の昇降を取り入れるなど、個別的な工夫もしています」(高栢氏)

同じくリハビリ部門で3位に入ったのはグレースメイト鷺ノ宮参番館(東京都錬馬区)。施設長の深谷貴子氏はこう話す。

「理学療法士、作業療法士、柔道整復師の3人の機能訓練指導員が常勤しています。利用者の症状に合わせて5人ほどのグループに分けてリハビリをするなど、励まし合いながら機能回復できるよう工夫している。運動だけでなく生活の中での動きをリハビリに取り入れ、利用者の方からは『靴や衣服の脱着、トイレの立ち上がりができるようになった』などの言葉をいただいています」

一方、「看取り部門」の上位には医療との連携を重視したホームが並んだ。1位は未来倶楽部江戸川(東京都江戸川区)。〈クリニックが併設されており、看護師などが24時間常勤〉〈夜間の緊急コールにも対応〉といった評価に加え、「呼吸器が必要な方、難病をお持ちの方など医療依存度の高い方でも受け入れ実績があり、看取りまでの連携が非常にスムーズです」と話す都内紹介業者の相談員もいた。

同部門2位のハートランド明生苑(東京都足立区)は〈母体が病院なので看取りが安心〉といった点が、3位の未来倶楽部荏田にも〈クリニックとの連携が行き届いているので気管切開など緊急の医療行為にもスムーズに対応〉といった評価が寄せられた。

介護スタッフと一緒に甲子園へ

関西のホームは在阪の紹介業者(笑美面、コミュニケーターいずれも大阪)の相談員を取材し、3部門で各1施設を紹介していく。

まず「認知症介護」はメディカルホームまとか住吉大社東(大阪市)。「今までの暮らしとホームでの生活のギャップをどう埋めて差し上げるか。それ
を考えながら入居者を支援しています」そう語るのは井上厚・ホーム長だ。

「社交ダンスをなさっていた方に講師として皆さんに教えていただいたり、野球好きな方を募って甲子園に阪神戦を見に行ったりして楽しんでいただいている」「リハビリ」分野ではラ・ナシカつるみ(大阪市)の名前が挙がった。

施設長の土井翔太氏は、「一人ひとりの消費カロリーまで計算し、最適なプログラムを作ります。だからこそ効果の見えるリハビリにつながっている」と胸を張る。「看取り」分野で推胞されたチャーム京都音羽(京都市)のホーム長・桃井浩美氏は「看取りはチームでやるもの。ケアマネを中心に、医療との連携を取りながら最後まで寄り添うことを心がけています」と話した。

そんな桃井氏の姿勢には相談員からも「ご家族に寄り添うホーム長の対応に、感謝の声が多数寄せられる」との評価があった。終の棲家を巡る環境が激
変するなか、施設選びのプロの視点を参考にしたい。

 

 

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